掲載元:note(2019年3月21日) https://note.mu/maegawa_shinsuke/n/na7fc6aef4f15?magazine_key=m0e09afcfe2eb
【vol.008】 第1節:具体的でわかりにくい?
抽象度の合わない違和感
まずはこの文章を読んでください。
私は数学の図形問題が苦手です。 理由は二つあって、一つは問題文が複雑すぎてわからないから。そしてもう一つは図形問題は一瞬のヒラメキを要して正答率が安定しないからです。 一つ目に関しては、問題文に「四角形ABCDにおいて、2点P,Qはそれぞれ辺AB,DCの中点で、2点R,Sはそれぞれ辺AC,BDの中点である」のように複雑な表記がなされていて、それを理解すること自体が難しいのです。 また二つ目に関しては、補助線を引くと簡単に問題が解けることがありますが、それは一瞬のヒラメキに依存していて、正答率が安定しないのです。 だから私は数学の中でも図形問題は苦手なので、これから力を入れていきたいと考えています。
これは私が講師をしている講座の塾生がPREP法(PREP法に関しては後日書きます)を用いて作ってくれた文章を私がアレンジしたものですが、わかりやすく読めましたか? ざっとこんな感じでまとめられますが、私はちょっと違和感があったんですね。 それは、二つの具体例の抽象度が揃っていないという点です。
具体的でわかりにくい?
さて、世間ではよく「具体的でわかりやすい」と言われますが、具体的すぎるとわかりにくくなるんです。例えば先ほどの作文でいうとこんな感じ。
アホな専門家の発する専門用語や業界用語は具体的すぎてようわからん
いや、さすがに「みさきちゃん」みたいな具体的すぎる会話をする人なんていないでしょー、と思われるかもしれませんが、意外とそういう話し方になっている人は多いですよ。 例えば、
短期計画でコミットしたKPIの達成はマスト。明日アサイチのディスカッションでアジェンダをシェアしたいから、ショートノーティスで悪いがまずはペライチをアサップで仕上げてくれ。
なんて言われても、その業界に居ない人からすると、なんのこっちゃようわからないですよね。このような業界用語は一般化しないと理解できません。 先月、とある経営塾に参加していたんですが、その勉強会のモデレーターが、あ、いや、司会者が、このような横文字の業界用語を連発する人で、周囲の経営者たちも、けっこうポカ〜ンと。。 「そんな業界用語わかるわけあるかい!オレらでもわかるように一般化せいや!」 と、臆病な私は心の中で叫びました。 ほら、これって「みさきちゃんとデートしてん」と本質的に同じでしょ?みさきちゃんのことを知っている者同士なら「みさきちゃん」という具体的な固有名詞を使っても話は通じますが、みさきちゃんを知らない人には「大学時代のオンナ友だち」くらいの抽象度まで一般化しないと通じないのと同じですから。 このように業界用語を連発するということは、「私は、今自分がやっている作業が何のためにやっていることなのかを捉えられない抽象度の低い人です」と言っているようなものです。だって相手の抽象度に合わせられなくて、その結果相手を満足させることができないわけですからね。 賢い専門家であれば、私たちのような零細企業の経営者でもわかる抽象度まで調節してくれてお話してくれます。そして、私たちを満足させてくれるのです。だからまた足を運ぼうと思うわけですが、、こんなのが続くなら時間とお金のムダだと思うので、通うのをやめようかな。